・決意
普段よく「ここにこんな形のプラッチックがあったらなあ」と思いながらも、木材や100均で買ったプラスチック製品を無理矢理加工したりしながら騙し騙し乗り越えてきた。
ある日、エレキベースのフィンガーレスト(=サムレスト つまり演奏時に親指を置くところ)を、自分のベース向けに専用設計で作れたら良くね?と思いつき、2018年5月、ついに重たい腰をあげ3Dプリンター導入を決意。
フィンガーレスト以外にも、表札、猫グッズ、リモコン立て、シェイカー(楽器)、スマホケースなどなど、ぼんやりと作るものの構想を練った。
・下調べ
家庭用の3Dプリンターで使われる主な樹脂には、「ABS」「PLA」があるらしい。
それぞれ融ける温度、反りやすさ、後加工のしやすさなどで特徴が異なる。
ABSは出力する際の温度がPLAよりも高く、温度変化で反りやすいので、出力先のプレート(プラットフォーム)を温める機能を使うのが望ましいようだ。この機能を、「ヒートベッド」「ヒーテッドベッド」というらしい。
いろいろな樹脂も試したいので、この機能のない3Dプリンターは選択肢から除いた。
Amazonレビューによると、QIDIというメーカーのものが、中国製でありながらサポートが手厚くて良い、とあった。
日本語のサポートや日本語マニュアルの充実したFlashforgeという会社の製品も魅力的ではあったが、少し高価なのと、英語でもGoogle翻訳に頼ればなんとかなるだろうと考え、QIDIの製品に絞る。
2色での印刷は別にいらない、猫がいるので上面にもカバーが付いているほうが良い、などの条件から「X-smart」という機種に決定。
レビューや動画は圧倒的に「X-ONE」「X-PRO」という機種が多く、「X-smart」に関する情報は少なかったのが少し不安。
また、X-smart本体の見た目と名前があんまり格好よくないのも少しだけ残念ポイントではある。自称スマートの割に見た目がスマートじゃない。でも、重要なのは書き出すオブジェクトの方なので、あまり気にしない。
・モデリングのテスト
今回は、他人の作ったデータを印刷することが目的ではなく、あくまで自分用のオリジナルパーツ製作が目的なので、3Dモデリングなる未知の領域に足を踏み入れる必要がある。2DのCADすらやったことないが大丈夫なんだろうか。
調べると「Fusion 360」というソフトが3Dモデリングには良いらしい。
しかも条件を満たせば無料で使える、とのことなので早速インストールした。
常用しているコンピュータは2017年モデルの MacBook 12inch(Core i7、16Gメモリ)。
メモリは盛ってるとはいえ、どちらかというと非力なマシンなのでちゃんと動くか不安だったが、簡単な立体を作るだけならそこそこキビキビ動きそうな感じだった。ただし複雑な立体になってくると、動きがもっさりしてくる。
Youtubeを参考に、スケッチ、押し出し、ミラー、フィレットなどの概念と操作方法を勉強した。
フェンダージャズベースのピックアップ周辺を計測し、フィットするフィンガーレストのモデルを作成してみた。
ソフトが素晴らしいのとレクチャー情報が豊富なおかげで、全くの初心者だったが何とか希望通りの形を作ることに成功。
こんな素晴らしいソフトを無料で使えるようにしてくれているAutodeskという会社に感謝しかない。しかもmacOSに対応。頭が下がります。
つづきます。